ミッドライフクライシスと自分史

一般社団法人自分史活用推進協議会理事 河野初江

人生の折り返し地点ではこれまでの生き方や達成感、将来への不安などが一気に押し寄せ、自己否定や虚無感に陥ることがあります。この心理的な危機は主に40代〜50代にかけて訪れることが多く、ミッドライフクライシスと呼ばれています。「これまでの人生で何を成し遂げたのか?」「残りの人生に意味はあるのか?」「自分の存在価値は?」・・・こうした問いが心を揺さぶり、うつ状態やアイデンティティの喪失につながることさえあります。

ミッドライフクライシスが近年注目されている背景には、社会構造の変化と個人の生き方の多様化があります。就職氷河期世代が中高年に差し掛かり、キャリアや家庭における達成感を得られないまま年齢を重ねていることや、子育てや介護が一段落し、役割を失った感覚に陥る人が増えていること、SNSやメディアで「成功者」と比較してしまうことで、自己肯定感が下がることなどがあり、深刻な社会問題となりつつあります。

こうしたなかNHKの「クローズアップ現代」が2025年7月9日、「中高年が陥る心の危機 モヤモヤから抜け出すには?」でミッドライフクライシスを取り上げ、モヤモヤから脱け出すカギは「書く」と「過去」にあり、「悩みを書いて客観視することで本当の大切なことが見えてくる」ということで、切り札として「自分史」が取り上げられました。番組では自分史活用アドバイザーの田和真由美さんが自分史講座の講師を務める場面や、ライフラインチャートを描いて振り返りを実践する受講者の様子が登場し話題となりました。

番組でもミッドライフクライシスを乗り越えるために役立つ自分史の機能の一端が紹介されましたが、整理すると心の危機に対し自分史は次のような効果があると思われます。

  • 自己肯定感が高まる:過去の努力や選択を振り返ることで、「自分は何もしてこなかった」という思い込みを修正できる
  • 人生の意味づけができる:点として存在していた記憶が、線としてつながることで「自分の人生にも物語がある」と実感できる
  • 未来への指針となる:過去の価値観や転機を見つめ直すことで、これからの生き方のヒントが得られる
  • 孤独が緩和される:自分史を共有することで、他者とのつながりや共感が生まれ、孤立感が和らぐ

このように自分史は「自分と向き合うためのツール」として役立てることができ、ミッドライフクライシスの混乱を整理し、人生の後半を前向きに歩むための羅針盤にもなるものです。

モヤモヤから脱け出すカギを求める人が増えている

一般社団法人自分史活用推進協議会では発足時よりこうした自分史の持つ多様な機能に着目し「自分史を活用する」ことの大事さを伝えてきました。協議会が行う「自分史活用アドバイザー認定講座」を受講すると、この自分史が持つ機能を総合的に学ぶことができます。また2025年7月発売の『ときめく自分史づくり』(河野初江著・オレンジページ刊)では、広く一般の人が自分史を活用しながら自分史づくりができる記入式シートを多く掲載し、自己振り返りに役立てる方法を紹介しています。

自分史を活用して自分史を作ったり、自分史の活用についてさらに知りたい方は、どうぞ一般社団法人自分史活用推進協議会認定の自分史活用アドバイザー資格を持つ者にご相談ください。 

                              (らしくラボ主宰 河野初江)