「グループ史」づくりのスリリングな楽しさ、ご存じですか?

一般社団法人自分史活用推進協議会理事 河野初江

自分史の一つの広がりとして、仲間とともに歩んできた軌跡を記す「グループ史」があります。「グループ史」は、共通の目的や経験を持つ人々が積み重ねてきた時間を言語化し、形として残す試み。家族や友人グループ、部活動やサークル、会社やプロジェクトチーム、さらには趣味の仲間やオンラインコミュニティまで、その対象は多岐にわたります。いずれも、個人ではなく複数の人が関わり合いながらつくり上げてきた歴史であり、その分だけ物語は豊かで立体的になっていきます。

私もまた東京女子大学卒業生有志グループ「TWOキャリアネットワーク」の創立30周年を記念した刊行物の編集に加わり、2026年3月『原点としての東京女子大学―卒業生が語るキャリアと母校』(IKOMA出版、全532頁)を完成するに至りました。嬉しいことに森本あんり東京女子大学学長より、「…後輩女子大学生に爽やかな突破口を示す激励の書である」と推薦の言葉をいただくなど「グループ史」の意義と魅力を実感しています。

東京女子大学卒業生有志グループ「TWOキャリアネットワーク」の創立30周年記念『原点としての東京女子大学―卒業生が語るキャリアと母校』。若き日の自分と仲間との写真が載るなど、自分にとっても仲間にとっても貴重な記録となった。

「グループ史」の最大の魅力は「自分たちの存在意義を再発見できる」ことです。なぜその仲間が集まり、どんな価値観を共有し、どのような出来事を通して関係が深まっていったのか。こうした問いに向き合うことで、いつもは意識しない「私たち」という単位の意味が浮かび上がっていきます。メンバーそれぞれの記憶を持ち寄ることで、個人の記憶では見えなかった側面が明らかになっていくというスリリングな体験をすることができます。

私もまた「グループ史」づくりを通して、自分たちのグループが生まれる前にいろいろな活動があったこと知ったりするなかで、「こうした下地があったからこそ自分たちのグループも生まれたのだ」ということに気づいたり、誰かの視点が別の誰かの記憶を補い、思い出がパズルのようにつながっていくなどの思いがけない発見がありました。

「グループ史」づくりで過去の歩みを振り返ることで、グループが大切にしてきた価値や、困難を乗り越えた経験、成功の背景にあった工夫などが整理されます。それらは、これからの活動や方向性を考えるうえで貴重な手がかりとなり、次なる文化の継承や新メンバーの理解促進にもつながるなど「未来への指針」になります。また、「グループ史」には互いの「関係性を深める力」があります。懐かしいエピソードを掘り起こしたり、当時の苦労を改めてねぎらい合ったりすることで、互いへの理解が深まっていきます。

完成させることで「形に残る喜び」も得ることができるのも大きな魅力です。書籍や冊子や動画、年表、Webページなど、どのような形であれ、目に見える成果物にすることで長く大切に保管されます。

私にとって「グループ史」づくりは単なる思い出の整理ではなく、仲間との関係を深め、未来への道筋を照らし、自分たちの物語を豊かにする営みでもありました。個人の自分史が「私」を見つめ直す作業だとすれば、「グループ史」づくりは「私たち」を見つめ直す作業。仲間と歩んできた時間を丁寧に記録することは、自分にとっても、そしてグループにとっても「かけがえのない宝ものをつくること」だったのです。