自分史と世界史

アメリカのトランプ大統領の言動が世界を揺るがせています。ある人は第二次世界大戦前に似た状況だといい、歴史は繰り返すといった言葉を実感します。まさに私たちは後世に伝えられる世界を生きているわけですが、片やそんな出来事はすべてテレビの中だけで、どこか他人事のようにも思えます。そんなことより、明日の仕事のプレゼンや、子どもの受験、健康や食事のことなどで頭がいっぱいです。いつかは影響を受けるのだろうけれど、今自分のまわりに起きることが殆どの人にとっての関心事でしょう。

世界史や日本史の教科書などを見ていると、戦争の時代は常に暗黒で、人間としての生活などなかったのではないかとも思えます。実際に、現代に比べると言論の自由などはなく、個人の意見などを残す習慣などなかったのでしょう。しかしそんな世の中でも、一人一人の心には希望や喜びなどがあり、きっとまわりとのコミュニケーションは現代と変わっていないのだと思います。単に残す手段が限られていたに過ぎません。

私が仕事としている「行政書士」という仕事も、字が書けない人に代わって書く、「代書人」という仕事がその起源だと言われています。

今繰り返そうとしている歴史の中で、その時代に生活していた市民はどんな暮らしをしていたのか、またどんな考えを持って生きていたのか、楽しみは何だったのか、何を生きがいとしていたのか、そんな些細な人々の声を聞いてみたくありませんか。

同じ気持ちを後世の人たちが持つかもしれません。世界史や日本史は政治家や学者が作っていくものですが、その背景にある「個人史」「地域史」「家族史」「自分史」は自分で意識して作るしかありません。昭和から始まり、今自分史はスタンダードなものに成りつつあります。何万年か後に、個人史が急激に増え始めた人類として私たち伝えられる時代の人間になるかもしれませんね。

馬場敦(一般社団法人自分史活用推進協議会監事)

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