ときめきの自分史―9年目を超えた「自分史サロン」での自分史づくり
自分史をつくりたい人がともに集い、語ったり書いたりする場があれば…と、2015年6月から毎月1回、横浜市のパソコン教室、パソルーム戸塚教室の一角で自分史サロンを開催してきました。横浜の地に生まれたユニークな自分史コミュニティとして新聞でも取り上げられ、9年以上にわたって続いてきました。
自分史サロンでは自分史活用アドバイザーである河野が進行状況に応じて助言をします。嬉しいことに初回から参加される方がいて、最初の1年で2つの作品が完成しました。冊子『かわたれどき』(藤井千穂子・著、A5判・42頁)と、和綴じ本『カンカン娘』(川中富士子・著、B5判・152頁)です。以後も毎年1~2作品が生まれています。
自分史サロンでは、自分の好みにあったスタイルの自分史をつくることを大切にしていて、それぞれイメージするものに仕上がるよう助言しサポートしています。その結果、冊子や書籍、和綴じ本、写真中心のフォトブック…と多彩な作品が誕生してきました。作品が完成するとサロン仲間みんなで称え喜びあいます。冊子を手にした時の完成者の満ち足りた笑顔を見るといつも、こうした場をつくって本当に良かったと思います。
大切にしているのは、初めてサロンにおいでになったときに河野に語ってくださる言葉です。「なぜ自分史を書こうと思ったのか」「どのような自分史にしたいと思っているのか」「いつまでに仕上げたいと思っているのか」をご本人の言葉で語っていただくようにしています。そこに、自分史をゴールにまで導く大きな力が秘められているからです。
「長患いの夫を看取りました。夫は私に、今度生まれ変わったら僕がお前を看病するからね、と言ってくれた。そのことを書きたいんです」「家族で収穫した大根を前に、泥だらけのかっこうで幼い私がカンカン娘を歌ったら、母がほめてくれた。あの日のことを書きたい」「思えば仕事ばかりの人生だった。80歳の誕生日に妻に感謝を込めて手渡したい」…。自分史サロンに来られた方が最初に語る言葉のなんと豊かなことでしょう。
これまでに50代~80代と幅広い年代の方が参加されてきていますが、いろいろ思い出して一度語ったことは、文字にしやすいのでしょう。話したことを次の回には書いて持ってくるということを繰り返すうちに、どんどん書くことが楽しくなるようで、たいていの方が書き始めて3~6か月で原稿を仕上げています。
これからも、自分史を語ったり書いたりできる場を運営することで、ひとりでも多くの方が、自分らしい自分史と出会えるようにしていきたいと思っています。