英語と自分史

今日はこんなところにも自分史が活用されているといった事例を紹介します。

先日、自分史活用協議会の理事の方から、中学生の英語の教科書に『自分史』をテーマにした内容があることを聞きました。ちょうど私の息子が中学3年生ということで、教科書を借りて見てみると、【私の人生】というタイトルの章がありました。

この教科書ではstep1としてPast(過去):今までの自分を振り返って、思い出に残っている体験や、そのときに感じたことなどを、<誕生><就学前><小学校><中学校>に分けて英語で書かせます。ここでは英語の過去形を使った練習になります。Be動詞や規則動詞、不規則動詞の復習をすることになります。

次にstep2ではPresent(現在):今の自分について<好きなもの><特技><その他>を英語で表現させます。さらにこれを書くだけでなく、それに関する自分自身の体験や考えを書き足します。そうすることでより生き生きとした「私の人生」が出来ると説いています。このあたりの考え方は自分史を作る際にアドバイスすることと全く同じです。

最後のstep3ではFuture(未来):10年後、20年後を予想して、<25歳の自分><35歳の自分>を書かせます。未来といえばwillですね。Willとその後の動詞の関係を確認します。

このようにPast・Present・Futureにそれぞれの短文で書いたものを整理してまとめる作業から「私の人生」を完成させます。そして、この章の最後では、グループ内でお互いの「私の人生」を読み合い、質問をしたり、意見を言ったりしましょうとグループによる情報の共有を薦めて終わりになっています。

技術的には過去形、現在形、未来形を駆使して英作文を書ききるといった授業になるのでしょうが、義務教育の一番最後の英語の章が、このような「私の人生」=自分史になっているのは非常に興味深く感じます。これは英語だけでなく国語にも言えることですが、私たちが言語を使う大きな目的として、「自分のことや自分に関係することをどのように人に伝えるか?」ということになるのではないでしょうか。さらに教育というものを考えたときに、外から知識を吸収することは、最終的には自分を表現するためのものであり、最後には人(先生)から聞いた知識で終わるのではなく、自分の内側から出るものに対して、今までの知識を総動員して完成させるというものになったのではないでしょうか。「自分史」は教材としてもすぐれているということがお分かりになったかと思います。

その他に学校教育で活用されている例として【1/2成人式】というものがあります。「自分史」は大人だけのものではありません。子どもにもたくさんの活用事例があるのです。

馬場敦(一般社団法人自分史活用推進協議会監事)

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