最近読んだ自分史関連本について

自分史活用アドバイザー 関 和幸

2023年2月10日発行の『読み継がれる自分史の書き方(森一夫・著 税務経理協会)』を読んでいる。まだ第1章を読み終えたばかりだが、個人的に面白さを感じたところをご紹介したい。

自分史活用推進協議会に所属していると、どうしても「『自分史』の歴史は1975年、色川大吉氏が著書『ある昭和史』で庶民の個人史から全体状況を浮かび上がらせようとする『自分史』を提唱し……」と言いたくなる。しかし、有名人の自伝・自叙伝を含めれば、いわゆる文字通りの「自分史」の歴史は一気に古くなるだろう。

たとえば、本書では文藝春秋創業者の菊池寛や社会契約論で有名な18世紀の思想家ルソーなど、著名人の自伝がいくつも取り上げられている。すると、自分史の歴史は一気に200年ほど長くなるわけだ。

なかでも印象的だったのは、江戸時代の学者・政治家である新井白石の著書「折りたく柴の記」が、彼の自伝だったことである。学生時代、受験勉強で「新井白石・正徳の治・折りたく柴の記」と暗記したものの、自分史だったとはまったく知らなかった。機会を見て、実際に読んでみたいと思う。

もうひとつ、並行して読んでいるのが2022年7月発行の『家族が読みたくなる自分史の書き方(湊屋一子・著 二見書房)』だ。A4サイズの自分史ガイドブックで、本に直接書き込めるスペースがある。

このような本は今まで無数に発行されてきたが、ほとんどは内容が薄いと感じざるを得なかった。しかし、この本は実際に幾つかのお客様の自分史を作ってきた私からみても、非常に役立つと感じられる。

特にそう感じたポイントは、家族が読みたくなる自分史を書くコツとして、「エピソード+その時の著者の気持ち」を書くことが強調されている点だ。

エピソードの羅列では、自分史の主な読み手である親族・子孫は飽きてしまう(その話は何度も聞いたよ……というやつだ)。しかし、そのエピソードに著者の気持ちが添えてあれば、「そうか……。あのとき親父(お袋)はこんなことを考えていたのか……」と感銘を受けるだろう。たいていの人は「あの時、親父(お袋)は何を考えていたのだろう?」と思ったことがあるからだ(疑問に思う人は、自分自身を振り返ってみてほしい)。 自分史制作はお客様から学ぶことが多いが、やはり書籍による学びも欠かせない。これからも自分史関連本をしっかりとチェックしていきたいと思う。