自分史という名のエンディングノート

自分史活用アドバイザー 泉正人

2年ほど前に自分史とエンディングノートがセットになった冊子の作成をご注文いただいたお客様から、最近再びエンディングノート部分の一部変更と情報の追加のご依頼をいただきました。

ある程度時間が経ってから、過去に自分が作成させていただいたお客様の声を聴くことは不安な部分もありましたが、結構気に入っていらっしゃるとのことで、安心しました。

自分史作成を考えるときには、自然な流れとしてエンディングノートも付属するのが良いように私自身では感じております。

よく耳にする話として、家族の立場として、本人が病気治療に入った場合の意思表示に関することですとか、本人が亡くなられた後の遺品整理、財産や墓地のことなどでどうして良いか分からずに困惑するということがあります。

どこまでを自分の人生として「自分史」を書き残しておくのかということを改めて考えてみるのも良いのかと思うこの頃です。

法律上の確定力は無くても、「希望する」という形の意思表示が自分史の一部として記載されていたならば、後に残って事務手続きや整理にかかわる人にとっては、大事な指針となるのではないかと思いますから。

自分の死後のことを思うことは、きっと誰しも気がのらないことだと思います。それでもあえて、明るく真っすぐに考えてエンディングノート作りをされる方を見ていると、自分の生まれた時から死後のことまで、本当の意味で自分の人生を綴った素敵な自分史だと自然に思えてくるのです。

自分の人生を冷静に振り返って、そこに何の意味があったのかを見出そうと努めて、やがて完結する時を穏やかな心境で待っていらっしゃるようです。

その方は、それほど高齢というわけではなく、持病があるわけでもなく、日々を大事に仕事と趣味に向き合っておられます。それでも気負うこともなく、自分のこれまでの人生を冷静に振り返りながら、遺言的内容としてのエンディンノートまでも、どこか他人事のような軽さでまとめられました。

事故や災害の多い昨今であれば、このような準備も大事だと改めと考えさせられる出来事でした。自分史アドバイザーになってから既に数年が経つのに、未だに自分の自分史をまとめられていないことについての自戒も含めてそう思います。

とは言え、五十代の今、自分の仕事をしながら、お客様の自分史作りをさせて頂き、加えて自分の夢のために小説を書き、自分の目標のために資格の勉強をしながら、お付き合いや日常の雑事をするという毎日です。限られた時間の中でそれぞれに優先順位をつけていくと、自分の自分史作りはどうしても後回しということになってしまうのです。きっと多くの方が似たような心境で毎日過ごされているのではないでしょうか。

それでも少しずつ時間に余裕が出て来たなら、いつかは自分の自分史作りと本気で向き合わなくてはならない時が来るだろうと思うこの頃です。