コミュニケーションツールとしての自分史活用

自分史活用アドバイザーになるためには認定講座を受講する必要があります。この認定講座では8つの切り口から自分史を学んでいただききます。その中の1講座に『コミュニケーションツールとしての自分史活用』というテーマの講座があります。

この講座では自分史をつくることよりも自分史を活用してコミュニケーションを円滑にする方法等についてお話をしています。そして実際に受講されている方々に対して自分史を活用したワークショップを体験していただき、自分史の有効性について実感してもらう内容となります。

コミュニケーションに関してはどの年代でも、またどんな組織においても重要かつあまりうまくいっていないと感じている方が多いのではないかと思います。実際にこのコミュニケーションを円滑にするために、いろいろな【媒体】(たとえば電話、メール、SNS、テレビ会議システム等)、【場所】(会議室、カフェ、集合研修、旅行等)、【テーマ】(仕事、プロジェクト、イベント等)、【手法】(アイスブレイク、ブレーンストーミング、ロールプレイ、KJ法等)など、様々なツールが紹介され積極的に取り組まれています。

そのツールとしての「自分史活用」は、特に【テーマ】において有効ではないかと思っています。テーマを『自分史』ということに絞ることで、自分はもちろん相手も話しやすくなります。自分に関することは、通常なかなか謙遜して話をしないものですが、【テーマ】がそれぞれの自分史というわけですから、話さないわけにはいきません。自分自身の歴史を話すだけなので特に予習が必要でもなく、どんどん話が出てくるでしょう。会話が弾んでくれば、両者の間で共通点が生まれます。たとえば、出身地や出身校などが同じだったなんてこともあるかもしれません。過去や現在だけでなくそれにつながる将来の夢も似ているなんてことも自分史をテーマにすると判明するものです。

確かに上記のような確率は低いかもしれませんが、低ければ低いほどそれが一致したときの感動は大きく、一気に両者の関係は近まります。心理学的には人間は自分と同じものを好むという本能があり、潜在的にいろいろな情報を自分に近づけよう(似ている)と思うようにするそうです。そうであれば、まったく同じでなくても似たような環境で育った人に対しては、「自分と同じ種類の人間」と思うようになり好意を示すのです。

現在の表面的な話題しか話さない場合と、過去・現在・未来までを話す場合とでは、情報量において大きな格差があり、おのずと共通点の発見にも大きな違いとなって表れるはずです。そんな意味からも自分史を【テーマ】にすることはコミュニケーションを円滑にするためにとても役立つのです。

ちなみに自分史活用アドバイザー認定講座においてのコミュニケーションワークショップでは、自分史を【テーマ】にインタビュー(取材)という【手法】を使って関係性を深めることを体験してもらいます。インタビューによって自分のことを答えていくわけですから、気持ちよく話すことができますよね。とにかく自分の話を気持ちよく聞いてくれるという環境がとても大事です。

自分の話を聞いてくれた人には何かをしたくなるものです。今度は相手の話をしっかりと聞き、あとはお互いに関心や共感を示しあっていきます。これがまさにコミュニケーションの基本。こんな観点からも『自分史』は活用できるのです。

馬場敦(一般社団法人自分史活用推進協議会理事)