自分史の新しい潮流

「自分史」と言われて、あなたはどんなイメージをお持ちですか?
定年退職した方が、自分の生きてきた軌跡を振り返って文章にまとめ、それを自費出版で本にするというイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか。
それで、自分にはわざわざ自分史としてまとめるようなことはないとか、文章を書くのは苦手だからとか、本にするのはお金がかかるからといった理由で、自分史をつくることに抵抗感があったり、興味を持てなかったりする方も多いことでしょう。

自分史の表現方法は、単に自分の半生をまとめて本にするだけではありません。
最近は、自分史を映像化したり、コミックにしたり、書にして飾ったり、いろいろな表現方法で楽しんでいる人も出てきています。
また、自分史を簡単につくれるパソコンソフトや、簡単に年表にまとめることができるインターネットサービスも登場しています。
きちんとした形にまとめなくても、自分の昔のことを振り返って、ちょっとノートに書き留めてみるだけでもいいのです。

自分史をつくることにはいろいろなメリットがあります。
自分の生きてきた証を残せたり、自分の体験や知識を自分の家族や子供、孫、他の人たちに伝えることができたりするだけでなく、自分の過去を思い出してみることで、脳を活性化して若さや元気を保つことができます。
また、自分の半生を棚卸ししてみることで、「自分はこんなことに興味があったのか」とか「子供のころはこんなことが得意だったな」とか「この出来事が今の自分にこんな影響を及ぼしていたのか」とかいろいろ発見でき、今の自分を見直し、生きがいを見つけたり、夢や目標を明確化したりすることもできます。
自分が数多くのことをやってきて、いろいろな障害や逆境を乗り越えてきたことをあらためて認識することで、自信や自尊心を高めることもできます。
これらのメリットは、シニアの方々だけでなく、若い人たちにもあてはまります。

職場でも、同じプロジェクトの仲間同士で自分史を見せ合うことで、仲間がどのように生きてきたのかがわかると、相手のキャラクターへの理解も深まり、コミュニケーションがとりやすくなります。
これは家族でも同様で、自分の両親やおじいちゃん、おばあちゃんが、子供のころはどうだったのか、どのように生きてきたのかをよく知らない場合が多いと思いますが、両親や祖父、祖母の自分史を知ることが、より家族間のコミュニケーションが深まります。

このように、自分史には、文章や本だけでなく、いろいろな表現方法があり、つくることによるメリットもいっぱいあります。
ぜひあなたも、自分史をつくってみませんか。

高橋誠(理事)