自分史で親子のコミュニケーションを

娘とコミュニケーション

うちにはもうすぐ5歳になる娘がいます。9月29日が誕生日なのですが、自分の娘が生まれた日のことは当然よく覚えています。誕生日をキーワードにこの日のことを話してあげると娘は食いつくように聞きながら、たくさん質問をして来ます。挙句の果てには自分の生まれたころの写真を一緒に見ようとひっぱり出してきます。自分のことなのに全然知らない出来事等を見たり聞いたりすることがとでも不思議なのでしょうか、随分と長い時間この話題で娘と過ごしました。

自分史は自分のことを語りあうことでコミュニケーションを良好にするという効果があります。「自分の知らない自分」を聞き、それに答えていくことも大きなコミュニケーションとしての効果があります。この関係性を最大に発揮できるのはやはり親子間でしょう。「自分のことを知りたい」という子の欲求と「一生忘れられない体験」をもつ親との会話は盛り上がらないわけはありません。親から聞いた自分の誕生から幼少期はそのまま自分の自分史となっていきます。

息子とコミュニケーション

また自分の家族のことで恐縮なのですが、中1になる息子が中学校の合唱コンクールで指揮者をやることになりました。思い起こせば私も同じころ同じように指揮者になったことを思い出し、息子に初めてその話をしました。息子は指揮者になったものの何をどうしたらいいのかわからない状態だったようで、少しだけアドバイスをしたり、自分がこの指揮者をきっかけに音楽に興味を持ち、いろいろなコンサートに行ったり、レコードを集めたりしていたことをたくさん話しました。息子は初めて聞く私の話を興味深く聞いていましたが、正直今回は娘のときと多少違い、話す私のほうが楽しかったようでした。

しまい込んであるレコードを見せるといったときは、多少迷惑そうな顔(笑)を見せていましたが、楽しそうに話す私を見ることで、息子も知らない私の一面を感じることができたのではないでしょうか。

親子でのコミュニケーションとは

2つの話は親子のコミュニケーションという共通点がありますが、これば自然に発生することではなく、私が話さなければまったく子どもたちには伝わらなかった話であるという危うさがあります。きっかけは大事ですがそれを見逃してしまうとコミュニケーションも取れなくなります。

私の父は4年前に亡くなりました。父からはもう私が生まれたときのことを聞くことがでません。親子間のコミュニケーションは永遠ではなく、意外と短い期間しかないのかもしれません。誕生日や記念日、行事等きっかけはたくさんあります。ぜひそのきっかけを大切に、親子でたくさんコミュニケーションをとることが、自分史の1ページをより豊かにします。

馬場敦(一般社団法人自分史活用推進協議会理事)