講演者自分史からの、受け手としての効能
2014年7月10日、わたくしが懇意にしています大学の先輩が或る会を立ち上げました。
毎月1回講演会を開催して今月には、第131回を迎えました。今年も12名の方々に講演をいただきました。
その中のお一人の講演者自分史を振りかえり、受け手としての効能を挙げてみます。
8月に講演頂きましたA氏の演題は「~社員と家族を守るためにメーカーになりたかった~ 好きなものは人、好きなことは出会い」でした。
大学卒業後はサラリーマンの道へと進み、技術が集積した浜松が大好きになり、ここで人生を歩みたい!と考え結婚、そして独立。成長期を経て挫折。再スタートでは「社員と家族を守るためにメーカーになる」と決意。設計者との出会いが有り実現と失敗。「選ばれるメーカーになると決意」盛和塾で学び「閃きは窮地に生まれる。諦めずに向き合えば妙手が湧く。」ことを実感する。そして最後に「謙虚にして驕らず。もう駄目だと思った時がスタート!」とA氏は、まとめられました。
「自分史」と聞くと、多くの人は「自分のための記録」だと思うかもしれません。しかし、一歩踏み込んで考えてみると、それは書き手から読み手へと手渡される、世界に一つだけの「人生のバトン」であることがわかります。
では、そのバトンを受け取った私たちには、一体どのような変化が訪れるのでしょうか。
1. 「人間性」に出会う
その人の自分史を開いたとき、そこにはかつて恋をし、挫折し、未来を夢見た一人の「人間性」の姿が浮かび上がります。 「そうか、この人も私と同じように悩んでいたんだ」 その気づきは、相手への理解を深めてくれます。心と心が通じ合う瞬間。それが受け手が得られる第一の効能です。
2. 生きた知恵を「疑似体験」する
教科書に載っている歴史は「事実」の羅列ですが、自分史に綴られているのは、その時々で揺れ動いた「真実」です。 誰かの成功体験よりも、泥臭い失敗や、そこからどう立ち上がったかという心の軌跡は、読む人の背中をそっと押してくれます。自分とは違う時代の、違う価値観の中を生き抜いた人の物語をなぞることは、自分の人生だけでは得られない「多くの経験値」を手に入れることでもあるのです。
3. 「つながり」という安心感を手にする
特に家族や親しい人の自分史に触れる場合、そこには自分のルーツや、今の自分を形作っている見えない糸が見つかることがあります。 自分が今ここに存在しているのは、誰かが困難を乗り越え、命を繋いできた結果である。その事実を自分史を通して実感することは、誰かの人生を丸ごと「受け取る」という、非常に贅沢な体験です。
私は会長から「こんな素晴らしい講演の内容を聴いてお仕舞ではもったいない。」との指令を受け、会の講演記録を発行しています。



