私が読みたい自分史
自分史活用推進協議会の自分史活用アドバイザー向け2025年4月勉強会は「より良き自分史をめざし――ノウハウ本出版によせて」というタイトルで、同年3月、自分史ノウハウ本「ゼロから始める自分史レシピ――新しい気づきへの旅」(かもがわ出版)を商業出版された、自分史活用アドバイザーの奥井健二さんに講師をお願いしました。
その勉強会に参加されていた方から、自分史年表の世界や国内の歴史を入れる欄のほかに、
地域史を入れてはどうかというご提案がありました。
これはとても素晴らしいご指摘で、地域の事情、背景というのは、自分の行動を決定づける、性格づける、重要な要素であると考えられます。この地域に生まれていなかったなら、この地域で暮らしていなかったなら、行動も考え方も違うものになっていたかも知れないのです。戦争体験も、受験体験も、就職体験も地域でまったく違いますね。自分らしさを考えるとき、「地域」は大きいワードであるはずです。他者と自分を分ける特徴のひとつが「地域」であると私は考えます。
ここで言う「地域」は、歴史的それであり、社会的それであり、文化的それでもあるでしょう。地理的、血縁的。なにと結びつけて自分を見るか。それもまた自分らしさであり、それがオリジナリティとなることでしょう。国立国会図書館サーチのリサーチ・ナビにある自治体史や地方史との距離感が魅力になるのかも知れません。そしてそれを表すエピソード。
自分史の活用を説く立場から言うと、書く人自身、また読む人に元気を与えてくれる地域、故郷と自分のかかわりを語ってほしい、そんな作品を読みたいと、私は思うのです。