ときめきの自分史―本の自分史づくりの手順と注意点
自分史を本にする場合、決めておきたいことがあります。それは、どんな本にするのかということです。また作業の流れも知った上で、自分にあった本づくりの会社を選びましょう。
1 製本方法を決める
本の製本方法には、並製本(ソフトカバー)と、上製本(ハードカバー)があります。並製本は親しみやすく、優しい印象に仕上がります。上製本は専門書や自叙伝、あるいは趣味を生かした丁寧なつくりの本にしたい方に向いています。
多くは表紙にカバーを付けますが、カバーをつけない製本もあります。製本方法は本の印象を決める大事な要素なので、いろいろな本を見て自分がつくりたい本をイメージしてみましょう。

2 判型を決める
本のサイズで一般的なものとしては四六版と、それよりやや大きめのA5判があります。手に取ったときの感触や読みやすさなども考えて決めましょう。
3 部数を決める
部数は、誰に届けるのかによって変わります。家族などごく身内の方に読んでもらうだけなので30部程度で良いという方もいます。あるいは、少し範囲を広げて友人やお世話になった方々にも、ということで50~80部程度とする方もいます。現役の経営者や学校関係者、団体の代表をされているような方の場合は300部、500部、あるいはそれ以上という方もいます。
本にすると国会図書館が国民共有の財産として献本を受け保管してくれます。また日本自分史センター(愛知県春日井市)や、あやめ自分史センター(東京都豊島区)でも献本を受けています。自分史は、次の世代へ伝える先人の知恵でもあるので、当面利用する部数だけでなく、これから出会う人や献本用の部数も勘定にいれてつくりましょう。
4 本になるまでの流れを知る
原稿があるだけでは本にはなりません。本になるまでには、「編集」「表紙デザイン」「割付(DTP)」「校正」「印刷・製本」「納品」という行程があります。「編集」では、章立て、見出し、目次の作成、原稿整理(表記統一など)、キャプション(写真説明)作成、記述の乱れに関する指摘と修正など、編集者の目線で本にするための確認と原稿を整える作業をします。
「割付(DTP)」は、各ページにテキストや写真を配置し、印刷データにする作業のことです。本文に用いる文字の種類や大きさ、行と行の空き方によって、本の表情はがらりと変わります。一生の間に、そう何度も本を出すことはないと思われます。
自費で出版する自分史の場合、初めての本づくりに丁寧によりそい、編集者の目線でそれぞれの行程をリードしてくれる経験豊富な本づくりのプロがいる編集制作会社を選ぶとよいでしょう。
5 依頼先を決める
自分史を本にするサービスをしている会社には、「自分史専門編集制作会社」「少部数制作印刷会社」「印刷会社」「自費出版専門会社」「商業出版社の事業出版」「電子出版プラットホーム」などの系統があります。
「自分史専門編集制作会社」は自分史専門の編集制作会社です。規模は小さくても自分史の企画・原稿制作(取材と執筆)・編集・デザイン(装丁・表紙作成・本文割付)について経験豊富なスタッフをそろえ、本の自分史をつくるサポートをきめ細かく行います。多くの場合、商業出版社による事業出版に比べて安く作ることができます。
ネットで検索をすると、少部数を得意とするところ、低コストの印刷を得意とするところ、自費出版を独自の方法で請け負うところなど、それぞれ特徴をもったサービス会社が出てきます。
繰り返しになりますが原稿があるだけでは本にはなりません。印刷だけでなく、編集まで面倒をみてくれるのか、それはどのレベルの編集なのか、という点まで見て選びましょう。また、商業出版社が行う「出版」というと、出版社負担で本を出す商業出版を想定しがちですが、事業出版は著者が負担する自費出版が原則です。
河野初江公式ページ➡らしくラボ https://rashiku-lab.com/