兵籍簿を一日も早く

一般社団法人自分史活用推進協議会理事 菖蒲 亨

今年はくりかえし、これを申し上げます。
今年は戦後80年、自分史誕生50年の大きな節目です。
皆様はご身内の方から、戦争体験をお聞きになられた経験をお持ちでしょうか。あるいは戦争への見解を聞かれたことはおありでしょうか。
残念なことに戦争を体験された親族の方が亡くなってしまい、もっと早く聞いておけばよかったと後悔されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回はそんな皆様に向けて、服役して(犯罪をおかしたわけではないのに「服役」と言うのですね)戦地に行かれた方についてであれば、これからでもすこしはその方に近づくことはできますよ、知ること、少なくとも知ろうとすることはできますよと申し上げたいと思います。その方ご本人は自分史など書いておらず、戦争について語ろうとしなかった、語ってこなかったとしても、私たち遺族が知ろうとすることは可能なのです。ただ、時間を経過すると、知ることのできる範囲がどんどん狭まってきてしまうので、するのであれば、すこしでも早いほうがいいのです。

その方法は、その方の兵籍簿を閲覧、もしくは取り寄せるということです。

兵籍簿記載内容例

該当資料が欠落している場合もあるとのことですが、旧陸軍軍人等の終戦当時本籍地があった都道府県に軍歴資料(兵籍簿、戦時名簿等)が保管されているそうです(以下、この文章の情報は令和3年=2021年当時のものであるため、最新情報をご確認ください)。旧海軍軍人の方の場合は、本籍地にかかわらず、厚生労働省社会・援護局業務課調査資料室に問い合わせることになるそうです。

閲覧等の申請ができるのは旧軍人等本人、遺族(六親等内の血族、配偶者、三親等内の姻族)、これらの方の法定代理人だそうです。必要書類は該当部署にお尋ねください。身分証明書の写し、ご本人でない場合、旧軍人等との身分関係を確認できる戸籍謄本等の書類が必要になります。

私の場合、兵籍簿によって叔父の兵種(歩兵)、技能(無線通信手)、配属聯隊、部隊(通信中隊)がわかりました。配属聯隊がわかれば、ネット情報の範囲であれば、編成地や所在地、参加作戦などがたとえばわかります。私はできていませんが、靖国神社遊就館に問い合わせると、生還された同じ隊の方やご遺族の方をご紹介いただける可能性があるとのことです。先程書いたことですが、生還された同じ隊の方などは、終戦80年ですから、現在100歳前後、生きておられる方は年々少なくなって参ります。記憶も薄れていくことでしょう。ぜひ一日も早く、お問い合わせされたほうがいいと思います(私も)。

祖先の知れることは知り、わからなかったことは想像をし、思いを至らせ、感謝をし、明日に思いをはせる。それは私自身の自分史。
ぜひ一日も早く。