【シネマで振り返り 65】2人の第二章 …… 「RAILWAYS  愛を伝えられない大人たちへ」

自分史活用アドバイザー 桑島まさき

幼い頃に夢見た故郷の電車運転士になる夢を人生の折り返し点を過ぎた時点で叶えた男の人生を描いた「RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語」(2010年5月公開)は、その気になれば、いつでも、誰でも、どんな夢も叶えることができることを証明し感動を与えてくれた。そしてそれは、不景気や自然災害などで落ち込んだ人々をどんなに勇気づけてくれたことか。
シリーズ第2弾は、2011年12月公開された「RAILWAYS  愛を伝えられない大人たちへ」。雨の日も雪の日も、晴天の日もレールの上を規則正しく走る電車は、人々の人生が交錯する場所。人の数だけドラマがある……。前作同様、人と人との絆がテーマだ。親と子、夫と妻、友達、職場の人々など、関わった人々とどれだけすばらしい絆を育むことができたかで、その人生は豊かで味わい深いものとなる。

本作は長年連れ添った夫婦の絆の物語が、心癒す美しい日本の風景の中を走る電車の映像を背景に描かれる。2011年といえば、戦後最大級の震災となった東日本大震災がおきた年だが、本作がクランクインしたのはこの大震災の翌日の3月12日。日本が混乱の最中にあった時だ。震災で美しい風土の一部が損なわれるという悲しい現実があるだけに、日本人の心の拠り所となる風景の数々は心の奥深く染みこんでくる。

定年退職するまであと1カ月に迫った滝島徹(三浦友和)は富山で鉄道運転士一筋に生きてきた実直な男だ。一人娘は結婚し現在、妊娠中。近く孫ができる徹は退職したら家で妻とのんびり、時々孫の面倒をみて過ごすのだと思っていた。そんな矢先、妻の佐和子(余貴美子)は、結婚後やめていた看護師の仕事を再開し、在宅ケアセンターで勤務したいと言い出す。
家族を養うために必死で働いてきたのに、残りの人生では妻は忙しく患者さんのために働くという。夫は納得できず(男のわがままそのもの)夫婦はケンカをしてしまう。そんな時、職場の同僚が倒れたことで、徹は新人運転士の研修指導をすることになり、退職が延びることに。夫婦の話し合いは中断したまま、妻は家をでて看護師として最期の時まで自分らしく生きたいと願う患者さんのために離婚も辞さない覚悟を胸に、新生活をスタートさせるのだった。

運転士として黙々と電車を走らせた男の長距離運転が終盤に近づき、安堵と同時におこる、これから先の長い時間の過ごし方への不安。それを共に過ごす人(そう思っていた)が、今度は新しい人生への旅立ちをきろうとしている。案外、近くにいる人のことは他者と比べてわからないものかもしれない。かみ合わない現実にどう折り合いをつけていくかが、夫婦の歴史や情愛、仕事への矜持を通して描かれ、自身にとって大切なものは何かを問いかける。長年連れ添った2人の第2章はいかに?
プロデューサーは「ALWAYS 三丁目の夕日」の阿部秀司。監督はシリーズ「RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語」でチーフ助監督を 務めた蔵方政俊、本作が監督デビュー作となる。

※「RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ」(2011年12月3日 日本公開)
RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ : 作品情報 – 映画.com

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