【シネマで振り返り 61】心の持ちよう次第で、人はいつでもプリティな存在 …… 「プリティ・ヘレン」

自分史活用アドバイザー 桑島まさき

「プリティ・ウーマン」「プリティ・ブライド」とハリウッドのトップ女優ジュリア・ロバーツを通じて自分が求める本当の恋愛や結婚を手にいれていく女性たちの姿を、スターの魅力を最大限に引き出して描いてきた故ゲイリー・マーシャル監督。2006年3月、日本劇場公開された「プリティ・ヘレン」ではケイト・ハドソンを起用し、自分が真に求める幸福をゲットするために奮闘する姿をユーモラスかつしんみりとドラマチックに描き好感度100%の作品に仕上げている。

ゴージャスな美女ながら飾り気のないジュリア・ロバーツも女性たちの人気を集め好評を博したが、ケイト・ハドソンも母親で女優(コメディアンヌ)ゴールディ・ホーン譲りの嫌みのないセクシーさが効を奏しとてもイケている。

ニューヨーク。大手モデル・エージェンシーに勤務するヘレン(ケイト・ハドソン)は、25歳にして仕事で成功し、花のシングルライフをエンジョイしている。エージェントとして駆け出しのモデルを売り出し有名にしていく利発さや押しの強い場面が随所に描かれ、この超多忙なキャリアがヘレンにその後訪れるサエない人生をポジティブに変えていくことがわかり爽快だ。ヘレンには結婚している2人の姉がいるが、不幸なことに長女夫婦が3人の子どもを残して交通事故で死んでしまう。
次女のジェニー(ジョーン・キューザック)は2人半の子持ちママ(現在、3人目を妊娠中)で、ジョークの通じないお堅い女性で3姉妹の中で一人浮いていることがチラホラ。長女夫婦が不慮の事故で死んだことで、3人の子どもの養育義務は当然ジェニーにいくと思ったところ、弁護士を通じて頼まれたのはなんと、3女のヘレンだった! 主婦業の先輩で家庭的なジェニーは不愉快でたまらない。ヘレンは秒刻みの仕事、独身、子育て経験なしなので躊躇するのだが、生来の面倒見のよさと楽天的思考で亡くなった姉が自分だけにあてた手紙を見て3人をひきとることにするのだった。

マンハッタンのアパートを引き払い家族4人が住めるようにクイーンズ地区に引っ越し、持ち前のガッツでシングルマザーとして奮闘するのだが、手のかかる時期の子育てと仕事の両立は難しく、諸々の失態が重なり、ヘレンはキャリアを捨てなければならなくなる。同じ業界での就職は子持ちにはムリ、生活のために中古車販売店の受付として働くようになり、子育て上のトラブルは次々に続く……。
まだまだ恋もしたい、自由な時間が欲しい、キャリアも積みたい、でも姪や甥はいとおしく守ってあげたい。そんなヘレンのせめぎ合いがいじらしく、ふとダイアン・キートン主演作「赤ちゃんはトップレディがお好き」(1988年3月日本公開)を思い出してしまった。
子育ては仕事と違って納期のないデリケートな仕事、それでいてアンペイド・ワークだけにキャリアを求める女性たちを悩ませてきた。
自分にとって優先すべきモノは何なのか?
仕事か、子どもか、恋愛か?
ピンチに遭遇してもキュートな笑顔で飄然と乗り切りめげない。明るく、立ち直りが早く、だてに多忙な仕事をしてきたわけじゃーない!ことを機転をきかして証明していくヘレンの逞しさは好感度大!

家族の微妙な関係性や姉妹愛も見逃せない。価値観はそれぞれ違うが、完璧な母親が子どもを幸福にするとは限らない。専業主婦歴が長いとそれなりに母親業はこなせるだろうが、子どもはやはり実の母親を求めるものなのだ。長女が子育て経験ゼロのヘレンに自分の愛する子どもたちを託した理由(見て考えて下さい!)は思わずググーッときてしまった。
つまり、〈完璧〉なんか求めなくてもいいのだ。ぎこちなくても愛する才能があればいい。自分にとって一番〈大切〉なモノは何か、それさえハッキリすれば何とかなるものだということを、ヘレンは貴重な体験を通して学んでいく。ジョーン・キューザックの演技も忘れがたい。この女優は主演級ではないが、メラニー・グリフィス主演作「ワーキング・ガール」(1989年5月日本公開)などの作品で助演級だがいつも存在感をみせつけてきた。
言うまでもなく心の持ちよう次第で、人はいつでもプリティな存在になれるのだ。

※「プリティ・ヘレン」 (2006年3月4日 日本公開)
プリティ・ヘレン : 作品情報 – 映画.com

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