【シネマで振り返り 32】フォーク全盛期の昭和のヒット曲にのせて …… 「結婚しようよ」

自分史活用アドバイザー 桑島まさき

青春歌で綴られた映画を観ると、グッーときてしまう。「パッチギ!」(2005年1月公開)ではフォークルにじわっ~となり……。2008年2月公開の「結婚しようよ」では、フォーク全盛時代、青春をいきる若者たちに神様のように崇められたシンガーソングライターの吉田拓郎ことタクローに感激。タクローが一世風靡した時代に青春を送り、夢を追いかけた男たちは既にオヤジ世代(もしくはそれ以上)。あの頃のような情熱は消えた(?)が、青春のバイブルは現在も心の片隅に眠っている……。
「僕の髪が肩までのびて 君と同じになったら~♪♪」とあるように、男が女と同じぐらいの長髪(ロン毛)がフツーだった時代である。映画「結婚しようよ」は、そんな若者の一人だった男が父親となり家族の問題に直面し、アタフタしながらも万事うまく収まってゆく心温まる家族映画だ。「結婚しようよ」「今日までそして明日から」などタクローの代表曲20曲が使用されている。

香取家は、平凡なサラリーマンで毎日定時に帰宅するマジメで優しいお父さんの卓(三宅裕司)の願望で長い間、家族一緒に晩ご飯を食べるのが習慣化している。お母さんの幸子(真野響子)はしっかり夫を支え、2人の娘の良き母親だ。 マジメな大学生でよく家の手伝いをする姉の詩織(藤澤恵麻)と妹の歌織(AYAKO/中ノ森BAND)。20歳の歌織はバンド活動にあけくれて学業どころではない。4人はとても仲がよく、毎晩家庭的で優しいお母さんの作ったご飯を一緒に食べる時間を楽しみにしている。
しかし、ふとした事情からそんな家族の習慣が壊れだす。ひょんな事から知り合った若い男・充を香取家の夕食に招待したため充と詩織は仲良くなりデートをしているらしくお父さんは面白くない。歌織の方はバンド活動が順調にいきだし夕飯までに家に戻れない日々が多い。そこへもってずっと専業主婦だった妻が自立の夢をほのめかすものだから穏やかではない。中年の危機、家族崩壊(?)の危機、不安を覚え落ち込むばかり……。永遠に続くモノなど何もないとわかっていても、納得できず子どものように駄々をこね、妻にあたってしまうのだった。

香取夫妻の歴史をひも解くと……。卓は学生時代、音楽の道をめざしていてライブ活動をしていた。卓が歌っていたライブハウスでアルバイトをしていた幸子と恋に落ち、幸子が妊娠したことがわかり、生活のために音楽の夢を捨て平凡な結婚生活を選んだのだった。熱い夢を封印し、代わりに自分の家族の中に夢を見いだした男が直面する現実。いつかは通らなければならない道とはいえ……。その父の音楽好きの血を受け継いだ次女の音楽活動を通して導かれる運命の不思議さ。人生ってホントに不思議に満ちている。

歌織を演じるAYAKOは本格派バンド、中ノ森BANDのボーカルだけあり、歌唱力抜群! 思わぬ事態、家族の危機が香取一家とその周辺の人々の温かいサポートによって、気持ちよく解決してゆく。
「半落ち」「陽はまた昇る」の佐々部清監督が、自身の神様であるタクローを題材にした、“かつての若者たち”に贈る青春映画。クライマックスは2倍にハッピーになれる!

*「結婚しようよ」(2008年2月2日 劇場公開)
結婚しようよ : 作品情報 – 映画.com

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