先日、78歳になる母が特別養護老人ホームに転居することになりました。それまでは一般の有料老人ホームにいましたが、介護3に認定を受け、運良く近くの特養に入ることが出来ました。

入居するための契約や提出書類など色々とあるのですが、その中に「生活歴」という1枚の用紙がありました。施設の方からの説明によると、「この紙に入居される方の生まれてから今までのことを出来るだけ多く書いてください。」とのことで、いわゆる自分史のようなものの提出を求められました。これは施設で働くヘルパーさんなどが、入居者に対して言葉を交わす際に、会話を盛り上げる素材になるそうです。施設には何十人とほぼ同年代の高齢者がいる中、名前を覚えるのも大変なのに、その人の経歴なども覚えなくてはならないなんて介護関係の方々は本当に大変だなあと思いましたが、説明して頂いた方によると、ちょっとした会話の中で、関連した単語が出るだけでも反応が全く違い、あると非常に助かるそうです。

そして生活歴を提出するにあたり、書き込んでいかなくてはならないのですが、生まれた日と自分が生まれ一緒に生活していた頃、そしてここ数年のこと、この3場面位しか、書くことが出来ませんでした。実の息子で、さらに自分史などに関わるものとして大変恥ずかしいことですが、多くの方も自分の親の人生を書き出すことは中々難しいのではないかと思います。結局、今まで母と同居していた叔母と一緒に母にインタビューをすることになりました。結婚前に働いていたこと、結婚当時のことや、子育て中に勤めていたことなど、色々と話してもらいました。はじめて聞く話も多く、特に子育て中のことは私が知らないことばかりで、こういうことがない限り、知ることもなかったんだなぁと感慨深いものが有りました。

自分史を作る際は言いたくないこともありますが、多くのことは、ただ単に話す機会がなかっただけのことかと思います。今回は介護施設に求められたので書いた自分史(生活歴)ですが、自分史を書くことを目的として今まで語る機会のなかった話を書くことをお勧めします。自分にとっては何気ないことでも伝えられた方にとっては「知っていてよかった」の連続となることでしょう。

是非、子育て中の話は、お子様の立場で、当時の想いを語れば、親にとっても初耳の話で楽しく聞いて頂けることと思います。

馬場敦(一般社団法人自分史活用推進協議会監事)