ライフログと自分史

ライフログとは

ライフログという言葉があります。IT(情報技術)の世界で使われることが多いかと思いますが「人間の行い(life)をデジタルデータとして記録(log)に残すこと。」という意味です。

「記録として残す」という行為は様々な歴史書などからわかる通り、太古の昔から人間が続けていることですし、個人レベルでも日記や手帳など身近なものにもその役割があったかと思います。もちろん自分史も今までご紹介してきた様々な活用があるものの、「記録として残す」という側面はかなり大きい分野です。

以前から行われてきたこの「記録として残す」という作業は、あらかじめ必要だと思う事柄を残す段階で選別し、不要なものを切り捨てることで成り立っていました。記録としての残す紙などのスペースや保管の問題、またその作業を行う人間の効率性からもそのような方法が行われてきた理由かと思います。ただその段階で不要だと思っていた情報やある特定の人にとっては重要な情報などはすでに捨てられてしまっているということで、全く活用が出来なくなってしまいます。

そこでデジタル化の革新によってこの問題が解決されようとしています。デジタル化によって媒体の制約が限りなく広がり(1Gの容量で原稿用紙140万枚分)、また情報機器の普及により文字だけでなく画像、写真、音声等の様々なデータを複合的に保存出来る技術も生活レベルに浸透しています。

単にライフログという言葉の意味だけでとらえると上記のような「デジタルデータとして記録すること」にすぎませんが、現在使われている考え方としてのライフログはすべての事柄を丸ごとデジタルデータとして記録し、そこから検索機能や並べ替え機能などを使い必要なものを抜き出すというものです。

ライフログ的な自分史

そのようなライフログの考え方や特徴を自分史に活用する場合、自分史が「自分にとって重要な事柄だけを書き残す」というところから「自分の何気ない日常の細部を記録し、つみ重ねて残す」という方法にシフトすることになります。

このライフログ的な自分史はストーリーを無理に考える必要がない分負担は少ないのですが、コツコツと記録を残していく作業が不可欠となります。ある意味では多くの方々が最も不得意なところでもあります。

ブログやSNSにもライフログとしての機能はありますが、情報をインプットするのはすべて自分の意思であり、なにもしなければ情報の蓄積はありません。

ここでライフログ的自分史は行き詰ってしまうかのように思えますが、実はこの辺りの悩みもIT技術が補ってくれます。

今、多くの方が持つスマートフォンには支払いや通勤定期など様々な機能が組み込まれています。常に身に着けることでその行動を判断し自動的に記録するライフログアプリがあるのです。さらに身に着けることを日常化するためにウェアラブル端末といって腕時計のようなリストバンドによって基礎的な情報を拾い上げるツールもあり、まさにライフログが日常化してきそうな予感さえして来ます。

時代の最先端を行くIT企業もライフログという広い意味で「自分史」に注目していることがよくわかります。是非このライフログという言葉に注目して頂けたらと思います。

馬場敦(一般社団法人自分史活用推進協議会理事)